「無制限」は課金の仕組みであって、速度ではない
「無制限」という言葉が表しているのは、何に対して課金されないかであって、どのくらい速く通信できるかではない。無制限として売られる旅行用プランはほぼどれも同じ仕組みだ。表示された容量までは最高速度で使え、その容量を使い切ると、プランの残り期間は速度を落とした接続が続く。何かが止まるわけではない。ただ遅くなる。しかもかなり遅くなることもある。 それが自動的に手口だというわけではない。打ち切るのではなく低速で続けるのは、本当に役に立つ設計だ。旅の最終日、残量メーターがゼロになるのを見守るのではなく、地図とメッセージを使い続けられるからである。ただ、見出しの言葉が、自分が買う体験について何も語っていないということは意味している。 細部でプランは分かれ、しかも大きく分かれる。旅全体を通した高速容量を与えるものもあれば、毎日リセットするものもあり、その場合、1日使い込むと旅の残りではなく、その日の残りを失う。最初の1メガバイトから速度制限がかかるプランもある。最高速度が適用されるのはプランを発行した事業者のネットワーク上だけで、提携ネットワークに接続すると低速になるものもあり、複数国の旅ではそれがほとんどの時間になることもある。こうした制限を小さな字に埋め込んだことについて、規制当局が事業者に是正を求めた例もある。それほど見落としやすいということだ。
規約のなかで見つけるべき2つの数値
見出しは無視する。探すべきは2つの数値だ。 第一は高速で使える容量と、それが対象とする期間だ。1日あたりか、プラン全体か、そして1日はいつ始まるのかを問う。現地時間の深夜0時にリセットされる1日分の容量と、有効化から24時間でリセットされるものとでは、挙動がまったく違う。とくにタイムゾーンをまたぐ場合はそうだ。 第二は制限時の速度で、通常はキロビット毎秒で書かれる。プランによって数百 kbps から 1 メガビット程度まで幅がある。これを具体的にするには8で割ればいい。128 kbps はおよそ毎秒16キロバイトで、3メガバイトの写真に3分ほどかかる計算だ。1 Mbps に近い数値なら約8倍速く、遅いが使える接続として振る舞う。 規約を読んでいるついでに確認したいことが、さらに3つある。旅の途中で高速データを追加でき、それを買うと最高速度が戻るか。制限時の速度は1日中続く絞り込みなのか、公正使用の上限に達した時点で完全に止まるのか。そして、容量は書いてあるのに制限時の速度がどこにも書かれていないなら、「無制限」を「一定量以降は不明」と受け止め、それに合わせて計画する。
速度を落とした接続でもできること
遅い接続は、死んだ接続ではない。この違いが、制限付きのプランがまったく問題ないものになるか、ひどく腹立たしいものになるかを決める。 およそ 128 kbps なら、もともと小さいものは動き続ける。どのメッセージアプリでもテキストメッセージ、大きな添付のないメール、そして地図だ。地図のタイルは軽いので、地図の移動、検索、ターンバイターンのナビは、目に見える待ちはあっても概ね動く。音声メッセージと写真は、ゆっくりだが届く。止まるのは重い側だ。音楽のストリーミングはバッファリングするか失敗し、動画は論外、ビデオ通話も論外、アプリの更新や写真のバックアップはいつまでも進まない。 範囲の上端、1メガビットに近くなると、様子が変わる。音楽のストリーミングは概ね動き、地図は普通に感じられ、低解像度の動画なら多少のバッファリングで再生できることもある。ビデオ通話はどの速度でも不安定なままだ。必要なのは瞬間的な速度ではなく、双方向の安定した速度だからである。 実用的な原則は、制限時の速度と、旅で実際にすることを比べることだ。毎日がメッセージ、地図、たまに店を検索する程度なら、制限付きのプランでしばしば足りるし、残量を気にするより簡単だ。写真をアップロードし、ストリーミングし、ビデオ通話に入り、ノートPCに接続を共有するなら、自分にとってプランが役に立たなくなるまさにそのときに、制限がやってくる。
テザリング、動画、そして公正使用の条項
読む価値のある制限は速度だけではない。ほかにも3つが、無制限プランが期待どおりに振る舞うかを決める。 テザリング。無制限プランの多くは、テザリングを全面的に除外するか、別枠で上限を設ける。その場合スマホは自由に通信できるが、ノートPCは何も使えないか、小さな別枠しか使えない。ノートPCで仕事をするつもりなら、規約のなかで最も重要な1行がこれだ。テザリングを認めているプランもあり、その場合はテザリング分を高速容量に算入してから制限に入ることがある。 動画。別途、動画に関する規則を設けているプランもあり、解像度の上限か、動画の通信にだけ適用される低い速度のどちらかだ。地図とメールには余裕のあるプランでも、動画をまともに再生できないことがあり、規約ではこれをデータ容量の一部ではなく独立した条項として挙げていることが多い。 公正使用。「無制限」には公正使用ポリシーが課されることが多く、ネットワークが異常とみなす使い方——持続的な大量使用、自宅の固定回線としての利用、ファイル共有——に対しては速度を落としたり制限したりできる。こうした条項は意図的に曖昧なので、自分にとっての価値が非常に大量の使用にかかっているプランは賭けである。 これは eSIM に固有の話ではない。同じ文言、同じ速度制限、同じテザリングの除外が、プリペイドの物理 SIM にも——カウンターで買ったものにも——現れる。問題になるのはプランであって、形式ではない。
購入前に答えておく3つの問い
これらを順に問い、答えに決めさせる。 第一に、高速で使えるデータはどれだけあり、どの期間でか。数値と期間を——1日あたりかプラン全体か——引き出し、自分の習慣と照らし合わせる。習慣が分からなければ、スマホを使う普通の1日は、メッセージよりも動画、地図、SNS が中心だと想定する。 第二に、その後に適用される正確な速度はいくつで、接続はそもそも続くのか。答えは kbps の数値であるべきだ。表示に書かれていないなら、それが答えだ。制限時の速度は不明であり、メッセージと地図以外は何も動かない程度に遅いと想定すべきである。 第三に、テザリングは含まれるか、そして容量の内側か外側か。さらに続けて問う。後から高速データを追加でき、それで速度制限は解除されるか。 容量が明示された従量プランのほうが、漠然とした「無制限」より判断しやすい。旅に出る前に計算できるからだ。これは無制限プランに反対する論拠ではない。メッセージ、地図、軽い閲覧が中心の短期の旅なら、無制限プランのほうが落ち着ける選択であることが多く、残量を見張る必要も、旅の途中で追加購入する必要もない。問いを立てる目的は、自分の旅に合う無制限プランを買うこと、あるいは合わないと前もって知ることにある。
よくある質問