手順よりもタイミングが重要な理由
インストール作業そのものは単純で、手順が原因で失敗することはほとんどない。問題はタイミングだ。旅行用 eSIM は、スキャンするコード、あるいは手入力する情報の形で届き、そのやり取りにはインターネット接続が必要になる。現地に着くまで待つと、まず必要になるのは使えるデータ通信であり、それを与えてくれるはずのプランこそが、まだインストールできないものだ。空港の Wi-Fi がよく使われる代替手段だが、これは適切な道具ではない。遅いことがあり、海外では受信できなくなった番号に SMS で送られたコードを求められることがあり、しかも同じゲートで同じことをしようとしている人たちの列に並ぶはめになる。自宅でインストールすれば、その依存を、選択肢のあるタイミングに移せる。理由はもうひとつある。なかには、海外で初めて接続した時点ではなく、eSIM をインストールした時点から有効期間のカウントが始まるプランがあり、インストール用コードが一度しか使えない場合もある。自分がどちらのタイプなのかは、到着ロビーよりも自分の食卓で調べたほうがはるかに簡単だ。
まず、スマホが eSIM に対応しているか確認する
すべてのスマホが eSIM に対応しているわけではなく、対応の有無は型番名だけでは判断できない。ここ数年のハイエンドモデルのほとんどは対応しているが、同じモデルのなかでも地域向けの派生版には非対応のものがあり、特定の市場で売られる端末は物理 SIM スロット2つで出荷されることもある。最も手早い確認はスマホの設定そのものだ。モバイル通信あるいはモバイルデータ通信の項目を開き、eSIM を追加する/プランを追加する選択肢があるかを見る。あるいは IMEI 表示用のコードに発信し、EID が並んで表示されるかを確かめる。EID があれば、内部に eSIM チップが載っている。2つ目の確認は SIM ロックだ。契約で買った端末は、販売したネットワークにロックされたままのことがあり、ロックされた端末はどんなに新しくても旅行用 eSIM を受け付けない。3つ目はハードウェアではなくタイミングの確認で、検討しているプランがインストール時点から数えるのか、渡航先で最初に接続した時点から数えるのかをはっきりさせる。インストール時点でカウントが始まるなら出発の直前に買う。初回利用時からなら、都合のよいときにインストールしてよい。
プランの追加で実際に起きること
旅行用 eSIM を買うと、事業者から手順が届く。通常は QR コードで、SM-DP+ アドレスとアクティベーションコードのように手入力する短い文字列が添えられることもある。スマホの設定での進め方はどちらでも同じだ。モバイル通信の項目を開き、プランを追加あるいは eSIM を追加を選ぶと、スマホはカメラで QR コードを読み取るか、情報を手入力するかを促してくる。QR コードのほうが速く、入力ミスも少ない。手入力の道が用意されているのは、読み取るのに使う画面にコードが表示されている、という厄介な場合、つまりコードがスマホ自身にメールで届いたときのためだ。いずれにせよ、プランはすでにある回線と並ぶ2回線目として追加される。物理 SIM を置き換えるものでも、自分の番号を乗っ取るものでもない。スマホは通常、新しい回線をどう使うかを尋ねてくる。あとで見て分かる名前を付け、選択肢がある場合はデータ専用に設定する。ここまでを自宅の Wi-Fi で済ませ、あとは切ったままにしておく。
インストール後に見落とされがちな設定
プランはインストールされ、スマホの見た目はまったく変わらない。だから次の部分が飛ばされる。スマホをかばんに入れる前にやっておきたいことが4つある。ひとつ目は既定のデータ回線だ。モバイルデータ通信に旅行用 eSIM を使うよう、スマホに教えてやる必要がある。自宅で設定してもよいし、現地に着くまで元の回線をデータ回線のままにしておいてもよいが、ゲートで設定を探し回るのではなく、どちらにするかを先に決めておく。ふたつ目はデータローミングだ。旅行用 eSIM は仕組み上ローミングであり、現地のネットワークに訪問加入者として接続するため、その回線のローミングスイッチは通常オンにする必要がある。これを切ったままにしておくのは、正しくインストールしたプランが何も動かないように見えるよくある原因だ。みっつ目は、自分の回線を何に使うかを決めることだ。通話とメッセージ用に有効にしておくのが普通は望ましい。銀行からの認証コードはこれまでどおり届き、データ通信は旅行用 eSIM が担う。よっつ目は、両方の回線に名前を付けることだ。プライマリとセカンダリという2つの回線は、急いでいるときに見分けがつかない。「自宅」と渡航先の名前なら違う。
到着日:オンにする順序
旅行用 eSIM は現地に着いてからオンにする。前もってではない。うまくいく順序はこうだ。機内モードを切り、モバイル通信の設定を開き、旅行用の回線を有効にする。続いて、それがモバイルデータ通信用に選ばれている回線であること、その回線のデータローミングがオンになっていることを確認する。1、2分のうちにスマホは現地のネットワークに登録され、ステータスバーにその回線の電波表示と並んで事業者名が現れる。自分の回線も有効にしたままなら、電波表示が2組並ぶが、これは正常だ。最初の接続は、端末がネットワークと折衝するために、思ったより少し時間がかかることが多い。ここでしてはいけないのは、何かをインストールしたり、Wi-Fi を探し回ったり、メールの添付ファイルを開いたりすることだ。その作業は自宅で済ませてある。到着時に、あと回しにせず確認しておきたいことが2つある。プランのデータカウンターが想定どおりの位置にあるか、そして旅程の途中で国境を越えるなら、そのプランが旅程のすべての国をカバーしているか、だ。
よくある質問